10月≪ 2017年11月 ≫12月

123456789101112131415161718192021222324252627282930

--.--.-- (--)

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
EDIT  |  --:--  |  スポンサー広告  |  Top↑

2006.06.19 (Mon)

ごめんねガイスト

寝苦しい夜だった。
ただでさえ空調設備と言えば冬用のセントラルヒーティングしか設けていない部屋。
夏になれば窓を開けるくらいしか涼を取る術は無い。

そんな暑苦しい真夜中に、その足音はいつからとも無く部屋の外に響き始めた。
コツン、コツン…と革靴の底が鳴らす音が外の通路をゆっくりと行ったり来たり。
足音の主は誰だろう。
少なくともこの寮の住民ではないはずだ。
こんな真夜中に革靴で歩きまわるような人間はいないはずだから。

ならば、この音は。…誰?

次第に足音が自分の部屋の前に近づいてきて、やがてぴたりと止まった。

恐らくは、ドアの前で。




「…幽霊?!」
久しぶりに会った友人の発言に、集まった仲間全員が色めき立ちました。

またもやドイツネタですいません。
今回はまた、前回の記事で滞在していた旧東ドイツでの体験話です。
当時の旧東ドイツの内情は少しだけ説明しましたが、あの頃は本当に
建物はボロイわ電化製品はデカくて懐かしいわ走る車はみんなトラバントだわ
(環境破壊の悪名高い東独の代名詞みたいな車です。極端な言い方をすれば紙でできてる)
とにかく方々でカルチャーショックを受ける東の様相に言葉もなかった私でした。
浦沢直樹作「モンスター」の世界がリアルになった感じです。
(漫画に詳しくない方スミマセン。因みに私はMasterキートンの方が好きです)

また、街を歩けば有刺鉄線に囲まれた荒れ放題の敷地や古い研究施設らしきものなど
「あ、あれは何に使われていたの…?(((゚Д゚;))))ガクガクブルブル」と
秘密警察とか強制収容所とか地下組織とかスパイとか、
穏やかでない言葉を連想してしまう場所も普通に見つけたりして
ちょっと、いやかなり引いてしまう場面が何度かありました。

そんな謎の残る建物が濫立する世界です。
私達が住んでいた寮だって、いわく付きでない筈がなかった。

「あの寮にさぁ、いたんだって!幽霊が!見た人何人もいたらしいよ」
「私もちょっと聞いたかも…3階の人が見たんだって」
「夜中にウロウロしてるんでしょ?足音聞いたって人結構いてさ」
「マジ!?私全然気がつかなかった!」
「ねえ、てことはさ…やっぱ、あの噂本当だったの?」
「噂って?」
「うちらがいた寮……東独時代は、病院だったんだって…」
ドイツ滞在から数年後、その時に仲良くなった友達と久しぶりに再会することになり
しばし当時の思い出話に花を咲かせていた私達は、
不意に一人が発した、寮に出没する幽霊談に全員顔を強張らせて飛びつきました。




あのドアの外に…いるんだよね…きっと。
ぴたりと止んだ足音が、自分の部屋の前で動かなくなっている。
背中に冷たいものを押し付けられたような気がして、少し腰が上がった。
同室の子はぐっすりと眠っている。気がついてるのは私だけだ。
いわゆる霊というやつだろうか。だとしたら、子供の頃に読んだ
インチキ臭いオカルト本に書いてあったことは本当だったんだ。

日本の幽霊は足が無いけど、西洋の幽霊は足がある。だから足音もする。

「…!!」
突然、言いようの無い悪寒が体中を駆け巡り、段々と手足が重くなるのを感じた。
初めての感覚じゃない。
これは…金縛りだ。




「病院…」
「よくよく考えてみればさあ、何~かアヤシイ建物じゃなかった?」
「そうそうそう!部屋も殺風景で、ベッドなんか鉄パイプで出来ててさ!」
野戦病院かよ!って思ったよね」
「しかもスプリングがもうクタクタで、ベッドって言うよりハンモックだった!」
「使い込んだ感があったよね…」

「ちょっと待って?だったらさ」

「もしあの寮が病院だったってのが本当で、ベッドもその時の使いまわしだったら」


「うちらが使ってたあのベッドで、死んじゃった人もいたってことじゃないの?」


……………。

「や、やだ~!」
「やめてよ!マジ考えたくない!」
ぎゃあぎゃあと青くなって騒ぎだした仲間達。

…どうしよう、言うべきだろうか。
遠巻きに様子を見ていた私は、少し逡巡したものの
もう過ぎたことだしな~となるべく軽い感じで口にしてみました。

「実はさあ、私あの寮で遭ったことあるんだよね、その幽霊に」

「!!!!」

この発言に、全員が顔を恐怖に凍りつかせて一斉に私を振り返ったのは言うまでもありません。





【More】

足、手、そして頭にずうんと沈んだような感覚が走り、動かなくなった。
…ちょっと、このシチュエーションでこれはマズイのでは…。
金縛りの経験は何度もある。
だが、明らかに何かの気配がした後の金縛りには
ろくでもないオプションがついて回ることを私は体で知っていた。
(きっとこのブログの古くからの読者様もご存知のはず)

そうこうしているうちに、「奴」の気配がドアを通り抜けて部屋の中に入ってくる。
(今更言うことではないが、勿論ドアは毎晩施錠して寝ている)
さく、さくと部屋の中のカーペットを踏む音がして、
……やがて私のベッドの傍らでぴたりと止まった。

「……!」
見るまい、意識があることを悟られまいとぎゅっと目を瞑る私。

おもむろに「奴」が私に手を伸ばす気配がした。

そして。


ぎゅむっ

!

……。

…あ~?(―公―)




「…で、どうなったのよ」
「だからさ、霊がさ、触ったんだよ」
「触ったって、誰を」
「私を!」
「どこを?」
「…………………………ムネを。」
最初の私の発言に恐怖で絶叫していたものの、
だんだんと話を進めていくうちに友達から何やら別の色を帯びた視線が注がれ始めました。

そうなんです。
あの時の幽霊は、毎晩私の前に現れてヒトの胸をむんずとつかみ
しばらくの間ぐいぐいとしつこく手を押しつけて、ほとぼりが冷めたら消えるという
何ら意味の無いことを繰り返していたのでした。

始めはもう恐怖を通り越して「このセクハラ幽霊がー!!」と手足が自由だったら
顔面にケリを喰らわしてやりたいくらい憤慨していたんです。私も。
だけど、幸いにしてそれ以上の事はされなかったし、何だかもう毎晩ともなると
いい加減慣れてきて、「もう好きにしてくれ(T▽T)」と人生悟りきった
場末の繁華街の女のような気分でされるがままになってしまっていました。

「…プッ」
私の話を一通り聞いていた仲間の一人が吹き出すと、
「な、何でアンタのムネ揉んでんの…その幽霊」
「ぶっ…ぶははははははははは!(T凹T)(T凹T)(T凹T)!!」
その場全員が堰を切ったように笑い出しました。
「どんな幽霊だよ~!!!」

…ああ笑ってくれよ。笑い事だよ。こっちだって笑いたいくらいだよ。
幽霊だっつうのにあまりにも信じられない行為をしでかしてくれて
もう恥ずかしくて、寮にいた時は誰にも言えなかったんだからね。






その後、「奴」は一ヶ月程でぱたりと私の前に現れなくなったんです。
どうして急に私の前に現れなくなったのか理由は定かではありませんが、
もしかしらたアレのせいだったかも。



…また来た…。
乾いた気分で「奴」を毎日迎えながら、私はあることに気づいていた。
金縛りが弱まっている。
これなら寝返りくらいは打てるかも。
長年の経験から、体を横にして眠れば金縛りに遭わない事は分かっていた。
そこで満を持したある日、「奴」が枕元に来た瞬間
えいっと体を横にして私はこう言い放ったのである。
「いい加減にしろこのエロ幽霊。あっち行けバカ。」




「お腹痛ぃー!!」
「やばいよ、もう可笑しくて止まんないよ!」
現実によじれるんじゃないかと思うほど腹を抱えてゲラゲラと笑う友達。
どうやら最初に話題になった時の恐怖感はすっかり消えているようです。

「…でもさあ」
ふと、涙目になりながらも笑い止んだ友達の一人がこう言いました。
「もしかしてその幽霊、hatoちゃんに何か伝えたかったんじゃないの?」



∑(゚□゚)!

あの時の彼女の言葉によって打たれた衝撃は今でも忘れていません。
そう言えば、ムネに触ってはいたけど全然ヤラシイ感じはしなかった。
ぐいぐい手を押し付けていたけど、もしや「奴」は私を揺り起こそうとしていたのか?
…てか、私のブツが何というかあまりにも貧弱すぎて、あの幽霊、
レディーの胸部を掴んでいたとは気づかなかった…?
だから「あっち行け」と言われて、自分が何をしてもダメだと悟り
スゴスゴと退散したのでは。

よくよく考えてみれば、ごくごく普通の(?)幽霊だったのかも。
きっと何か生前に言い残したことややり残した事があって、たまたま波長があった私に
それを訴えたかったのかもしれない。
なのに私は何を勘違いしたか、単なる痴漢幽霊と考えて相手にもしなかった。
今となっては確かめる術は何もないけど、そう考えた方が自然じゃないか?


(何だ、そうだったんだ…)
当時の幽霊事件から数年後、初めてそれを公にし他からの助言を得たことで
やっと「奴」の本意を汲むことができた私だったのでした。











ごめんよ、エロ幽霊。
あの時アンタの気持ちに全然気付いてやれなくてほんとスマンかった。





(だからエロ幽霊じゃないって…)

例え「奴」と相対しても、私が言えるのはせいぜい「モットユックリシャベッテクダサ~イ」くらいだ

スポンサーサイト
EDIT  |  22:53  |   |  TB(0)  |  CM(4)  |  Top↑

Comment

こわ~っ

ひぇ~!
こわいっす。一人暮らしなのにー!
いるんですね、ホントに。

何かを伝えようとしてたというのは、ありえますね。
でもよりによって胸を掴むだなんて・・・
うらやましぃ・・・ あ、間違えましたv-356
ハンサム |  2006.06.20(Tue) 22:58 |  URL |  【コメント編集】

ハンサムさん

「いる!」と断言してしまうとちょっと色のついた目で見られがちなんですが、でも確かに説明のつかない現象ってあるんですよね~・・・。そんなに私も多く経験しているわけじゃないのですが。

結構身近にあると思うんですよ。ハンサムさんも、ちょっとしたことでも「あれ?」っ思ったことないですか??

それは、もしかしたら…



な~んて、一人暮らしの人を脅してしまったようで、スミマセンでした(笑)
hato |  2006.06.21(Wed) 13:14 |  URL |  【コメント編集】

まぁ幽霊というのは遣り残したことがあるから昇天できないわけで、そういう意味では無関係の他人のところには出没しないわけですよ。
エロ幽霊さん、実はhatoさんのお知り合いだったりは…?

さて、ワタクシも怖いメに合った事が一度だけ。
上京して慣れない一人暮らしにビビっていた頃。隣はエレベータというマンションの一室において、深夜エレベータの動く音がうちの階で止まり、足音がウロウロし、やがて我が部屋の前で止まった時には相当ビビりました。室内の気配を探る様子、そのまま中へ入って来そうな、それはまさしく幽霊では…
ガチャガチャガチャガチャ!
ドアの郵便受けから人間の手が!
幽霊より怖い…生きてる人間の方が怖いよママン…(ToT)
たか |  2006.06.22(Thu) 01:08 |  URL |  【コメント編集】

たかKさん

子供の頃に読んだ「うしろの百太郎」によると、地縛霊というのは人に構わずちょっかいを出すらしいですよ…
(古!てかそれ以前にマンガかよ!というツッコミは無しの方向で)

確かに、たかKさんの体験は霊なんかよりも数倍怖いですね。
私も一人暮らしの経験ありますけど、一度だけ見知らぬ人に後をつけられたことがありました。
何をするか(されるか)分からない恐怖って、ホント言葉では表せないものがありますね~
hato |  2006.07.04(Tue) 13:12 |  URL |  【コメント編集】

コメントを投稿する

URL
COMMENT
PASS  編集・削除するのに必要
SECRET  管理者だけにコメントを表示
 

Trackback

この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック

 | HOME | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。